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ちょうないのにてんさい

町内の二天才

坂口 安吾

「キング 第二九巻第一四号」1953(昭和28)年12月1日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 12,836 字 · 26 页

青空文庫

この町へつれてきて、大勢の見物人の前で床屋の鼻たれと試合をさせて、ぶち負かしてやるんだから」

「それじゃア二割引きでマキを売って下さいますか。ありがたいね。モウケ仕事ですから、それでは東京へ参って、お言葉通りの豆天才を探して参りましょう。しかし、ねえ。脳膜炎をわずらったことがあるようなのが居るといいけど、こればッかりは請合えないね。ま、できるだけ貧弱そうなのを物色してつれて参りますから、マキの方は何とぞ宜しくお願い致します」

そこで天元堂は豆天才を探しに東京へでかけた。以前懇意の将棋会所を訪ねて訊いてみると、

「ウチにも少年が三人手伝ってくれているが、これはさる高段の先生から預ったものだから、私の一存で貸してあげるワケにはいかない。それに年もちょッとくッている。十二三の子供といえば、ウム、そうだ。私はまだその子供と指したことがないから棋力の程は知らないが、向島にバタ屋の倅で、滅法将棋が強くッて柄の悪いのが一人いるそうだ。柄が悪いというのは、子供のくせに賭け将棋で食ってるそうだね。そういう奴だから、先生に世話してやろうという親切な人も、ひきとって育ててやろうという先生もいないが、小さいガキのくせに、力は滅法強いらしいな。