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ひゃくしょうのゆめ

百姓の夢

小川 未明

「女性日本人 4巻1号」1923(大正12)年1月

N3 · 进阶 · 新字新假名 · 7,278 字 · 15 页

青空文庫

「きっと、子供らは、俺を探しにやってきたのだろう。いまじきに俺を見つけるにちがいない。そして、ここへきて、俺の前で、太鼓を打ち、笛を吹いてみせるにちがいない。俺は、子供らが見つけるまで、黙って眠ったふりをしていよう……。」と思いました。

太鼓をたたいたり、笛を吹いたりしている、二人の子供たちの姿は、月がいいので、はっきりとわかりました。

やがて、牛は、彼のいる前へやってきました。子供たちが、自分を見つけて、いまにも飛び降りるだろうと思っていましたのに、牛は子供たちを乗せたまま、さっさと自分の前を通りすぎて、あちらへいってしまいました。

遠くに、池が見えていました。池の水は、なみなみとしていて、その上に、月の光が明るく輝いていました。若い牛は、ずんずん、その方に向かって歩いてゆきました。

彼は、驚いて起き上がりました。なに用があって、子供たちは、池の方に歩いて行くのか? 自分はここにいるのに!

「おうい、おうい。」

彼は、牛を呼び止めようとしました。しかし、二人の子供たちが笛を吹いたり、太鼓をたたいたりしているので、彼の呼び声は、子供たちにはわからなかったのです。