轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
めらはかせのふしぎなはんざい
目羅博士の不思議な犯罪
江戸川 乱歩
「文藝倶楽部 探偵小説と滑稽小説号」博文館、1931(昭和6)年4月増刊
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 15,493 字 · 31 页
何もかも同じなのです。それが妖しい月光に照らされて、一層そっくりに見えるのです。
僕は恐ろしい予感に顫えながら、それを確める為に、窓の外へ首をさし出したのですが、直ぐその方を見る勇気がないものだから、先ず遙かの谷底を眺めました。月光は向う側の建物のホンの上部を照らしているばかりで、建物と建物との作るはざまは、真暗に奥底も知れぬ深さに見えるのです。
それから、僕は、云うことを聞かぬ首を、無理に、ジリジリと、右の方へねじむけて行きました。建物の壁は、蔭になっているけれど、向側の月あかりが反射して、物の形が見えぬ程ではありません。ジリジリと眼界を転ずるにつれて、果して、予期していたものが、そこに現われて来ました。黒い洋服を着た男の足です。ダラリと垂れた手首です。伸び切った上半身です。深くくびれた頸です。二つに折れた様に、ガックリと垂れた頭です。豪傑事務員は、やっぱり月光の妖術にかかって、そこの電線の横木に首を吊っていたのでした。
僕は大急ぎで、窓から首を引こめました。僕自身妖術にかかっては大変だと思ったのかも知れません。ところが、その時です。首を引こめようとして、ヒョイと向側を見ると、そこの、同じ様にあけはなされた窓から、真黒な四角な穴から、人間の顔が覗いていたではありませんか。