轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

もうもくものがたり

盲目物語

谷崎 潤一郎

「中央公論」1931(昭和6)年9月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 75,341 字 · 148 页

青空文庫

それにしても殿さまからそんなおはなしはないものか。かたきの人質をさえゆるしておやりになりながら、御夫婦と申してもみじかい御えんでござりましたのに、だいおんのある先君のいもうと御と姪御とを死出のみちづれになさるおつもりか。それともまた、いとしいおくがたをひでよし公には意地でもわたされぬとおぼしめしていらっしゃるのか。かついえ公ともあろうおかたが此の期になってめゝしいこともなさるまいから、いまになんとか仰っしゃるだろうが。と、そんなふうにかんがえましたのも、じぶんがたすかりたいというこゝろではござりませなんだが、いきるもしぬるもおくがたしだいのいのちときめておりましたのでござります。

寄せ手は廿二日のあさ一番どりの啼くころよりおい/\取りつめてまいりましたが、御城下の町々、かいどうすじの在々所々を焼きたてましたので、おびたゞしいけぶりが空にまん/\といたしまして日のひかりもくらく相成、おしろから四方をながめますと、いちえんに霧のうみのようで何も見えなんだと申します。上方ぜいはこのくらやみをさいわいに、こえをしのばせものおとをころして、おもい/\に竹たば、たゝみ、板戸などを持ちまして、そうっとちかづいてまいったらしく、そのうちにそとがすこしあかるくなりましたら、さながら蟻のはいよるがごとく