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しゃかいじひょう
社会時評
戸坂 潤
「文藝春秋」1933(昭和8年)年6月~1937(昭和12)年5月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 195,408 字 · 380 页
検べて見るとこの二十名程のものは赤いレプラ患者だったというので、当局は色々な意味で狼狽しているのだが、なぜ又責任ある院長が衛生上こんなに無茶な処置を大胆にも取る気になったかは、一寸奇怪に思われてなるまい。
併し事「赤」に関する限り、衛生学も医学も科学も消し飛んで了うのが現代の風俗なのだから、大して驚くには当らないのである。院長は多分、一パシ世間並の立派な処置を取った積りだったのだろう。傷ましいのはいずれにしても患者達である。
精神病では治療主義の採用へ、癩病でさえ監置主義の抛擲へ、向って来るようだが、マルクス主義もどうやら一種の病気として取り扱われ始めたらしい。なぜなら、ここでもこの頃矢張治療主義(?)が、改悛主義が、流行するらしいからである。ただこの際、場合によって治療主義即監置主義になるという特色を注目しなければならないのである。
最近の新聞によると、七月末までの「転向」者は五百五十名、未決囚で三〇・三パーセント、既決囚で三五・七五パーセントに当るそうである。それはどうでもいいとして、転向の動機の分類が中々振っている。「民族的自覚によるもの」