轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
そぼのために
祖母のために
宮本 百合子
「文芸春秋」1925(大正14)年3月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 7,632 字 · 16 页
「いやなお祖母様。この装でお出かけになる積り? 駄目! 駄目!」
祖母は、ちゃんとした服装を一人でととのえることを知らないらしかった。手荒いように、然し念を入れて、私が襟元などをよくなおした。祖母と私とは、そういう心持のいきさつなのであった。変に哀れっぽい乾からびたパンを見てから、私の裡に在る真実が自分でも判らない一杯さで心に溢れて来た。いやなおばあちゃんという点は依然としてあるが、厭でもよいというような気持、ただ可哀想という心持。――
父は急いで九州から戻った。帰った日から祖母の容態が進み、カムフル注射をするようになった。十中八九絶望となった。祖母は、心持も平らかで、苦痛もない。私は、父の心を推察すると同情に堪えなかった。父は情に脆い質であった。彼にとって、母は只一人生き遺っていた親、幼年時代からの生活の記念であった。兄や弟、妹たちは皆若死をした。母がなくなれば、妻子を除いて、父は独りぼっちだ。父も若くない。寂しく思うだろう。私は自分が子としての立場にある故か、父を愛し愛している故か、それがひどく父の身に代って思い遣られた。
十六日の晩、私は息抜きという心持で外出し、外で夕飯をたべた。