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かみさまのふとん
神様の布団
下村 千秋
「赤い鳥」赤い鳥社、1925(大正14)年4月
N3 · 进阶 · 新字新假名 · 4,585 字 · 10 页
「いいえ、兄さんが寒いでしょう。」
はじめお客は、どこかの子供たちが暗闇に戸惑いして、この部屋へまぎれ込んだのかも知れないと思いました。それで、
「そこで話をしているのはだれですか?」となるべくやさしい声できいてみました。すると、ちょっとの間しんとしました。が、また少したつと、前と同じ子供の声が耳の近くでするのでした。一つの声が、
「お前、寒いだろう。」といたわるように言うと、
もう一つの声が細い弱々しい声で、
「いいえ、兄さんが寒いでしょう。」というのです。
お客は布団をはねのけ、行灯に灯をともして、部屋の中をぐるりと見回しました。しかしだれもいません。障子も元のままぴったりとしまっています。もしやと思って、押し入れの戸を開けて見ましたが、そこにも何も変わったことはありませんでした。で、お客は少し不気味に思いながら、行灯の灯をともしたままで、また床の中にもぐり込みました。と、しばらくするとまたさっきと同じ声がするのです。それもすぐ枕元で、
「お前、寒いだろう。」
「いいえ、兄さんが寒いでしょう。」
お客は急に体中がぞくぞくとして来ました。もうじっとして寝ていられないような気持ちになりました。