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ねぎさまみやた
禰宜様宮田
宮本 百合子
「中央公論」1917(大正6)年7月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 34,662 字 · 68 页
そして、微かな足音を立てながら、悲しげに泣きながら、彼の体中を歩きまわる。
ソクソクソクソクという足元から、悲しい寂しい心持が湧き出して、禰宜様宮田の心も体も押し包んでしまうのである。
そして、ときには瘠せ犬が自分の心の持主なのか、または自分が、その瘠せ犬の主なのか、よく分らなくなってしまうほど、追い払っても、追い払っても、また戻って来るみじめな、瞬く間に自分の心を耄碌させてしまいそうな辛さが、彼の心を苦しめたのである。
けれども、有難いことには、昨日のあの瞬間から――彼が泣き伏しながら拝みたい心持になったときから――彼の魂は真当な休みどころを見つけた。
そこだけは、いつも明るく暖かく輝いている。
辛かったら来るがいい……
泣きたくなったら、泣きに来い……
彼は、今まで俺はもうもう不仕合わせなけだものだと思っていた自分の心を――あの瘠せ犬があんなにも引掻きまわす自分の心を――ちゃあんと、どなたかが見ていらっしゃって、こういう休みどころを下すったのじゃああるまいかということを大変思った。
そのどなたかは、世の中じゅうの真当なことの持ち主であらっしゃる……