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ねぎさまみやた
禰宜様宮田
宮本 百合子
「中央公論」1917(大正6)年7月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 34,662 字 · 68 页
ほんとに、きっと何かが在りそうな気がする。
それならいったい何が在るのか?
彼は知らないし、また解りもしない。
ただ、底抜けでない、筒抜けでは決してないという心強さが、じわじわと彼の心の核にまで滲みこみ、悠久な愛情が滾々と湧き出して、一杯になっていた苦しみを静かに押し流しながら、慎み深い魂全体に満ち溢れるのである。
「何事もはあ真当なこった……」
天地が広いのが真当なように、何も知らない意くじない自分が小さいのは、辛いことがあるのは決してまちがいではない。
「どなたか」は各自の心に各自違った考えをお授けなさる。それがよし自分と同じでないとしたところで、どうして怨んでなるものか。
すべてのもののうちに潜んでいる真当、掘り下げて、掘り下げて行った底には、きっと光っているに違いない真当に、強い憧れを感じて、禰宜様宮田のあの子供らしい、上品な眼は涙ぐんだのである。
貧乏な暮しには、いい魂より金の方が大切だ。
お石は、唇を噛んでジリジリしながら、どう考えても馬鹿の阿呆に違いない自分の亭主を呪った。
家中の責任を皆背負って立っている自分、この自分がいるばかりにようよう哀れな亭主も子供達も生きていられるのだという自信に、少なからず誇りを感じていた彼女は、何の価値も全然認め得ない彼が、一存で礼を突返して来たということ――