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ねぎさまみやた

禰宜様宮田

宮本 百合子

「中央公論」1917(大正6)年7月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 34,662 字 · 68 页

青空文庫

手先はブルブル震えるし、どうやったらこのバサバサな藁が人形になるかも分らない。

いくらしても片端じから崩れたり解れたりしてものにならない藁束に向って、彼女の満身の呪咀と怨言が際限もなく浴せかけられたのである。

引きちぎったり踏み躪ったりした藁束を、憎さがあまって我ながら、どうしていいのか分らないように足蹴にしながら、水口まで来ると、お石は上り框に突伏してオイオイ、オイオイと手放しで号泣した。怨んだとて、呪ったとて、海老屋の年寄にはどうせかないっこないのだということが、口でこそ強そうなことを云っていても、心にはちゃんと分っているから、お石は一層たまらない。

胸を掻きられるような心持になりながら、娘達をつかまえては泣き出し近所の者に会っては怨みを並べている彼女の、厚みのないへこんだ額には、一日一日と皺が増えて、鼻のまわりに泣き皺が現われた。

もうまるで子供ではない娘達は、両親の苦痛は充分同情していた。

が、さてどうしたらいいのかということになると、彼女等は、ほとほと途方にくれてしまう。

そして、ごくごく単純な彼女等は私に遣らなければならないものなら、やったってよさそうなものだのに、……町へ行って奉公したって食っては行けるくらいに思っていた。