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ねぎさまみやた

禰宜様宮田

宮本 百合子

「中央公論」1917(大正6)年7月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 34,662 字 · 68 页

青空文庫

「オーイ、誰来てくんろよ――オーイ」

近所の桃林で働いていた三人の百姓は、びっくりして仕事の手を止めた。

「オーイ来てくんろよ――沼だぞ――」

「あら、オイ禰宜様の声でねえけえ?」

彼等が沼地へ馳けつけたときには、真裸体の禰宜様宮田が、着物の明いているところじゅうから水が入って、ブクブクとまるで水袋のようになっている若い男を、やっとのことで傍の乾いた草の上まで引きずり上げたところであった。

背が低くて、力持ちでない禰宜様が助け上げたのが不思議なくらい、若者は縦にも横にも大男である。

が、もうすっかり弱りきっている。

心臓の鼓動は微かながら続いているから、生きてはいるのだが、見るも恐ろしいような形相をして絶息している。

もう一刻の猶予もされない。

水を吐かせ、暖め摩擦し、そのときそこで出来るだけの手当がほどこされたのである。

ここいらの百姓などとは身分の違う人と見えて、労働などは思ってみたこともなさそうな体をしている。自分が裸体だなどということはまるで忘れて、水気が一どきに乾こうとする寒さで、歯の根も合わずガタガタ震えながら、それでもひるまない禰宜様宮田は、若者の上に跨がるようにして、