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しゅうさいようしかがみ
秀才養子鑑
佐々木 邦
「現代」大日本雄辯會講談社、1939(昭和14)年4月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 15,837 字 · 32 页
会長のいたずら
「何分宜しくお願い申上げます」
「私達こそ何うぞ。さあ、お掛け下さい。さあ、何うぞ」
と雪子夫人も席についた。
「あゝ、雪子さん、小室君は橘会の勇者ですよ」
「まあ、そう?」
「その関係で御案内したんです。あなたも奥さんを御招待なすったら如何ですか?」
「早速御交際をお願い申上げましょう」
「実は妻から奥さんへ宜しくとございました。不思議なことに、雪子と申して、奥さんのお名前を汚しております」
と小室君が社交手腕を揮った。
「まあ! 矢っ張り雪子さん? お懐しゅう存じますわ」
「雪子さん、これから使いを出して御案内なすったら如何ですか? 雪子さんと雪子さんのお顔合せも面白いでしょう」
「そうね」
「僕、命じます」
と井上君が立って行って斡旋した。
会長のいたずら
小室君は山へ来て芽を吹いた。社長女婿の見出しにあずかったのが一つ、同時に養子は誇るべきものだと大悟一番したのがもう一つだった。元来頭は悪くない。それは連れ添う雪子夫人が夙に認めている。事実、多少秀才の誉があったから、小室家の婿養子に望まれたのである。学校の落第必ずしも材幹を否定しない。或一定の条件の下に教科書を読みノートを暗じて点を取るのは碁将棋のゲームと異るところがない。