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しゅうさいようしかがみ
秀才養子鑑
佐々木 邦
「現代」大日本雄辯會講談社、1939(昭和14)年4月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 15,837 字 · 32 页
牝鷄の晨
山へでも川へでも飛んで行きます」
「使ってさえ戴けば、水火の中も辞さない積りです」
「自分の意志は利きません。山というのは鉱山と精煉所です。川というのは川崎の工場です。誰が何処へ行って何年勤めるか、その辺は全然会社の都合で、人事課長の私にも分りません。中には一生涯山へ入ったまゝ、東京へ戻れないでしまう人もあります」
「何処へでも喜んで参ります。決して贅沢は申しません」
「それから唯の商事会社と違って、工場の方の現業と併行ですから、忙しいこと日本一です。時には夜業があります。日曜に臨時召集されることもあるんですから、欠勤が一番困ります」
「はあ」
「学校を出たばかりのものは厳重な体格検査をして採用しています。結局、話が健康問題に戻りますが、御自信がありますか?」
「充分ございます」
「暑中休暇が一週間あります。しかしこれは殆んど取る人がありません。欠勤で差引いています。それですから大抵無欠勤です。皆実によく勉強します」
「私も及ばずながら努力します」
「話は大体それぐらいのところでしょう。何れ宗像さん初め幹部の方と相談して御返事申上げます」
牝鷄の晨
「あなた、何う? お見込は」