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あきのはんしゃ

秋の反射

宮本 百合子

「ウーマンカレント」1926(大正15)年6月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 4,234 字 · 9 页

青空文庫

沢や婆は、幸死なずに治れた。が、すっかり衰えた。憎たらしい、横柄な口も利かなくなった。いずれにせよ、仙二はこの経験で、彼女を隣人として持つことは、どのような手数、心の重荷――厄介かということを知ったのであった。

青年団の寄合で、村会議員の清助に会った時、彼はざっくばらんに自分の意見を話した。

「どんなもんだべ、俺、まだ足腰の立つうち柳田村さやるのがいいと思うが、あっちにゃ何でも姪とかが一戸構えてる話でねえか。――万一の時、俺一人で世話はやき切れねえからなあ」

「そうともよ、皆さ計って見べ」

清助は、大力な、髭むじゃな、字の読めない正直な金持の百姓であった。彼は仙二の立場をよく理解した。

三

村役場と村役場、村役場と姪の一家族。交渉はなかなか手間どった。永年住んでいたものだから、毎月敷生村から救済費として米を六升ずつ送る条件で、愈々沢や婆は柳田村に移されることになった。

沢や婆は、一軒ずつ暇乞いに歩いた。

「私ももうこれでおめにかかれませんよ、こう弱っちゃあね」

ごぼごぼと咳をした。

「どうも永年御世話様でございました」

彼女がもう二度と来ないということは、村人を寛大な心持にさせた。