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かみのゆくえ
紙の行方
中谷 宇吉郎
「図書」1952(昭和27)年11月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 1,264 字 · 3 页
そういう近郊風景を、この国でとくに彩っているものは、落葉を焚く煙と、紙を焼く煙とである。方々の家の裏庭から、こういう煙が白く立ち昇っている風景は、風流といえば、まことに風流である。しかしこの煙は、アメリカの木材資源の過伐と、地力の消耗との一つの表象とみることも出来る。しかしそういう見方は、貧乏国で育った私などの感慨であって、現代のアメリカでは、そういうことは全然問題にする必要がない。紙くらいはどんどん焼いた方が、別の生産の方で、能率を上げるもとになるからである。
ものを無駄にした方が、かえって生産の向上に役立つという、この不思議な現象は、アメリカにだけある現象である。
(昭和二十七年十月)