轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
ぜつえんたい
絶縁体
豊島 与志雄
「世界」1952(昭和27)年3月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 18,752 字 · 38 页
私は苦笑して、そこらをぶらついてから帰った。市木さんが二階で何をしているのか、私には見当もつかなかった。
その低い垣根のおかげで、市木さんがほんとに怒ったらしいところを、私は一度見たのである。
或る朝のこと、縁側に立って冬の陽差しを眺めていると、市木さんの家で、激しい物音が何度か続けてした。堅い器物がぶつかった音とは違い、なんだか肉体的な響きが感ぜられた。二人の子供はもう学校に出かけてる頃で、市木さん一人きりの筈だし、なにかの発作でも起して、または誤って、引っくり返ったのではあるまいか。私は心配になり、垣根を跨ぎ越して行ってみた。庭から声をかけると、硝子戸の中の縁側に市木さんは突っ立っていた。真赤な顔をして、唇をかみしめていた。私の方を睥むようにじろりと見て、硝子戸を開け、足元を指し示した。そこに、猫が横たわっていた。だらりと伸びて、もう息絶えてるらしかった。
「こいつ、成敗してやりましたよ。」
そして市木さんは猫の死体を睥みつけた。
私はなんだかぞっとした。
市木さんは猫を二匹飼っていた。まだ親猫にはなりきっていないが、だいぶ大きくなっていた。二匹とも三毛、といっても、白地に赤毛と黒毛が丸い玉をなしてる立派な三毛ではなく、だいたいは白地だが、それに赤毛と黒毛がいい加減に生え別れてる普通のものだった。