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びじんたかじょう
美人鷹匠
大倉 燁子
「婦人倶楽部 一八巻九号」1937(昭和12年)7月増刊号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 12,870 字 · 26 页
私はまるで若様一人を待つために、あすこで鷹狩をやっていたようなものでした。若様は面白がって毎日来て下さいました、私はほんとに死んだ息子に会うような喜びで、あの空地へいそいそと出向いたものでございます。自分の児も、もし若様のように立派なお屋敷に生れ、立派な父君を持っていたら――と、思うと、不憫で不憫で堪らなくなりました。その思いが段々こうじて、果ては若様が憎くさえなってきたのです。それは嫉妬なのでございましょうか、私はある日、若様がお母様と御一緒に見に来て下すった時、何という事なくむらむらと腹が立って、気狂いのように鷹をけしかけたのを父に叱られました。私は若様が憎いというより、奥様の態度が癪に触ったのでした。私が若様に近寄って革の手袋をはめて上げながら、余りのお可愛さに思わずちょっとお頭を撫でました。すると奥様は眉をしかめ、さもさも汚ないと云うように私の手を払い退けて御自分で手袋をはめて上げ、若様のお体に私のような者の指一本も触れさせまいとなさいました、その御様子に私はカッとなり、若様を殺してお母様に私と同じ悲しみを味わせて上げようと思ったのでした」