轻松读懂日语经典作品
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はだいろのつき
肌色の月
久生 十蘭
「婦人公論」中央公論社、1957(昭和32)年4~8月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 50,706 字 · 101 页
夜の十時近く、捜査本部になっている伊東署の捜査主任室に、本庁の畑中刑事が入ってきた。薬鑵の水を湯呑についで飲むと、奥のデスクで丸山捜査主任と打合せをしていた加藤捜査一課のそばへ行った。
「おう、畑中君、さっきの電話連絡、聞いたよ……出て来たそうだな。女を泳がせた甲斐があったと、丸山さんと話していたところなんだ……どこから出て来た?」
「湖水からあがって来ました」
「山林へ入ったんじゃなかったのか」
畑中刑事は照れくさそうに頭へ手をやった。
「山林のほうばかり警戒していたので、鼻先へ突っかけられて、あわてました」
「対岸からボートでやって来たのか」
「いや、そうでもなさそうです。こちらの岸をずっと見てまわりましたが、ボートらしいものは着いていませんでした」
加藤捜査一課は納得しない顔で問いつめた。
「妙な話だな……どういうことなんだい」
「星明りで、はっきりとアヤは見えなかったが、どこかやられたらしくて、フラフラになっていました……ガレージの横手からまわりこんで、勝手口からロッジへ入りました」
「女はどうした?」
「お見込みどおりでした。時間の打合せがあったのだとみえまして、女のほうが先に二階から降りて、ホールで待っていました」