轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
はなふぶき
花ふぶき
豊島 与志雄
「風雪」1948(昭和23)年4月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 9,409 字 · 20 页
おれは外から様子を窺った。――千代はしゃくりあげて泣いている。嘉代さんが着物の泥を払ってやりながら、すかすように尋ねている。どうしたのか。転んだのか。誰かに悪戯でもされたのか。どうしたのか。いくら尋ねても、千代は返事をしないで、ただ泣いている。
おれはそこへはいって行った。千代はおれを見向きもしないが、嘉代さんが訴えるように言う。
「ほんとに、この子は、まるで赤ん坊ですよ。頭が少し悪いものですから、せめて、みなりだけなりと……そう思って、わたしがいくら気をつけてやっても、すぐにこうなんですよ。それでも、泣くことなんかないのに。……大きいなりして、いつまで泣いてるんですか。さあ、もういいから、足を洗っていらっしゃい。」
おれは何にも言うことがなかった。店の方へ行って、煙草をふかした。忌々しかったのだ。――嘉代さんが、白痴の姪をふびんがって、いたわってやる気持は、分らないことはない。だが、千代はいったい何と思ってるのだろう。おれに殴られたことをなぜ言わないのか。自分の方が悪かったなどと、そんな分別のつく彼女ではない。或は、彼女はおれのことなど完全に無視してるのかも知れない。