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はなをうめる
花をうめる
「哈爾賓日日新聞」1939(昭和14)年10月15日~10月31日
N3 · 进阶 · 新字新假名 · 3,555 字 · 7 页
それをする相手も、たれであってもかまわぬというのではなかった。第一そんな遊びを頭からこのまないなかまもあった。女の子はたいていすきだった。
ふたりいればできると私はいったが、ひとりでもできないことはなかった。私はひとりでよくした。ただひとりのときは自分がふたりになってするだけのことである。つまり花をとってかくしておき、そこからすこしはなれたところへできうべくんば家の角を一つまわったところまで、いっておにになり、眼をとじて百か二百かぞえ、それからさがしに出かけるのである。
だがそれをひとりでするときは心に流れるうらわびしさが、硝子の指先にふれる冷たさや、土のしめっぽい香や、美しい花の色にまでしみて余計さびしくなるのだった。
ふたりか三人でその遊びをしたあと、家へ帰る前に美しい作品を一つ土中にうめておきそのまま帰ることもあった。その夜はときどきうめてきた花のことを思い出し床の中でも思い出してねむるのである。
そんなとき土中のその小さな花のかたまりは私の心の中のたのしい秘密であって、母にもたれにも話さない。つぎの朝いってさがしあててみると、花は土のしめりですこしもしおれずしかし明るい朝の光の中ではやや色あせてみえ私はそれと知らず幻滅を覚えたのであった。