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わかきせだいへのれんあいろん

若き世代への恋愛論

宮本 百合子

「昼夜随筆」白揚社、1937(昭和12)年3月1日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 14,340 字 · 28 页

青空文庫

の問題をとりあげたのであった。

青年論に連関するものとしてのはっきりした見とおしで恋愛論がおこったともいえない状態であった。むしろ、偶然に社会の耳目をひいた恋愛事件、恋愛による殺傷事件などの刺戟が、昨年から今年にかけてこの恋愛論を生んでいるのではないだろうか。

そして、現在私たちの周囲にある恋愛論の多くは恋愛論の論というとおかしいが、そういう恋愛論は正しいとか間違っているとか、そういう論の論議にかたよっているように思える。さらに特徴的なのは、恋愛について物をいい、書きしている論客の大部分がほとんど中年の人々であることおよび、それらの恋愛論と読者との関係では、それぞれの論が読まれはしていても現実に若い人々の生活における行動の規準となるものをもっていないことなどが感じられる。

現代の若い男女のおかれている時代的な境遇というものを洞察して、その脈管にふれて多難な人生行路の上に力づけ、豊富にされた経験と分析とで、若い時代の生活建設に助力しようとする熱意からの恋愛論は、残念ながら少なすぎる。ある主観的な点の強調からの恋愛論やその反駁、さもなければ、筆者自身が大いに自身の趣好にしたがって恋愛的雰囲気のうちに心愉しく漫歩して、あの小路、この細道をもと、煙草をくゆらすように連綿とみずから味っている恋愛論である。