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わかきせだいへのれんあいろん
若き世代への恋愛論
宮本 百合子
「昼夜随筆」白揚社、1937(昭和12)年3月1日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 14,340 字 · 28 页
私は一人の読者として、心に消すことのできない一つの疑問を抱いている。今日、本当に自分たちの生活を現実に即して考え、さまざまの困難に向いあっていて、しかも勇気を振ってそれを突破してゆかなければ結局生きようはない境遇におかれている若い男女が、はたして、これらの恋愛についての議論や講義の中に、自分たちの生涯の問題がとりあげられ語られているという切実なものを感じ得るであろうか。恋愛論という見出しを見て私の心にすぐくるのは深いこの疑問である。
恋愛とか結婚とかの問題は、きわめて人生的な性質のものである。それぞれの個人の性格、境遇が綜合的にほんの小さく見える偶然にまで作用して来るのだが、やはり時代というものが押し出している強い一つの共通性というものがある。
同じ恋愛についての新しい認識、方向が求められるにしろ、時代は過去においてそれぞれの性格を示した。明治初年の開化期の男女は、政治において男女同等の自由民権を主張したとおり、急進的に男女の自由な相互の選択を主張した。自由結婚という言葉が、この時代の人々の行動を通して今日までつたわって来ている。
日本におけるこの時代は非常に短く、それは近代資本主義日本の特性を語るのであるが、憲法発布頃から、恋愛や結婚についての一般の考えかたが、ある点逆もどりした。