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くさまくら

草枕

夏目 漱石

一个画家厌倦了人情世故,独自钻进深山。他想找一处能喘口气的地方,却在旅途中发现——原来诗和画,都在眼前。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 84,485 字 · 170 页

青空文庫

「わしらのかく画はそれで沢山じゃ。気象さえあらわれておれば……」

「上手で俗気があるのより、いいです」

「ははははまあ、そうでも、賞めて置いてもらおう。時に近頃は画工にも博士があるかの」

「画工の博士はありませんよ」

「あ、そうか。この間、何でも博士に一人逢うた」

「へええ」

「博士と云うとえらいものじゃろな」

「ええ。えらいんでしょう」

「画工にも博士がありそうなものじゃがな。なぜ無いだろう」

「そういえば、和尚さんの方にも博士がなけりゃならないでしょう」

「ハハハハまあ、そんなものかな。――何とか云う人じゃったて、この間逢うた人は――どこぞに名刺があるはずだが……」

「どこで御逢いです、東京ですか」

「いやここで、東京へは、も二十年も出ん。近頃は電車とか云うものが出来たそうじゃが、ちょっと乗って見たいような気がする」

「つまらんものですよ。やかましくって」

「そうかな。蜀犬日に吠え、呉牛月に喘ぐと云うから、わしのような田舎者は、かえって困るかも知れんてのう」

「困りゃしませんがね。つまらんですよ」

「そうかな」

鉄瓶の口から煙が盛に出る。和尚は茶箪笥から茶器を取り出して、茶を注いでくれる。