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あらほうし

荒法師

山本 周五郎

「講談雑誌」博文館、1944(昭和19)年4月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 17,734 字 · 36 页

青空文庫

鎧を持って立った、「……お着せ申しましょう」

うむといいながら俊恵は法衣をぬいだ、これが門出である、花世の頬へ涙がつつと糸をひいた、昏れはてた森のどこかで、そのとき思いだしたように、また蜩が、かなかなと冴えた音をはって鳴きはじめた。

程なく寄手の陣へ浅野長政の軍勢が到着した。浅野軍は武蔵のくに岩槻城を攻め落して来たのだが、その余勢を駆って忍城へ迫り、なお躊躇する石田本軍をしりめに激しく戦って、ついに城の一角へ突入することができた、それは忍城にとって正に危急存亡の刹那であった。けれども石田三成はそこで浅野軍に功を奪われることを快しとせず、敢えて後援の兵を動かさなかったので、城兵の一隊は猛然と決死の反撃をいどみ、ついに突入した浅野軍の将士百余騎を討ってこれを城外へ駆逐した。……このとき城兵のなかに一人の僧形の武士がいて、殊にめざましく戦うのを浅野軍の兵たちは見た、かれは草摺の千切れた鎧を身に着け、槍をとってまっ先に進んで来たが、そのまま面もふらず寄手の人数のまん中へ突っ込み、阿修羅の如く戦って討死をした。ま一文字に突っ込んで来たありさまもすさまじかったし、むらがる