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かふうせんせいとじょうじんのしゃしん
荷風先生と情人の写真
佐藤 春夫
「週刊現代 第一巻第六号」1959(昭和34)年5月17日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 2,934 字 · 6 页
旧蹟地には吉原を
僕の分にすぎた願を先生は笑ってからかいたしなめたのかも知れない。
百年後には渡してもらえる話は別として、今はだめだ、まだ時々出して見なければならないと言ったことだけは間違いなく事実である。人げのない深夜の臨終の枕べに、時々は出してみた写真の果してどれがおもかげに立ったやら、立たなかったやら。
旧蹟地には吉原を
同じそのころより少しく後であったかと思うが、これを直接でもなく神代からでもないから、何時どこで何人から聞いたやらおぼえないから、ただの風説にすぎなかったかも知らないが。
先生は遺産(そのころは今ほどの莫大の額には達していなかったろうが)を苦にして、百年の後はこれをフランスのアカデミイに寄附しようか、それとも吉原病院にしようか、若いころにはずいぶん世話になったものですからと言っていたと聞いたが、この話はその話の内容からみて、どうもただの風説ではないように思われる。吉原病院はいかにも先生らしいアイデアと思うのに、今はこれも無くなってしまっている。先生の遺産は益々巨額になったというのに。
吉原と言えば、先生が※(「さんずい+(壥-土へん-厂)」、第3水準1-87-25)東綺譚で世評が高く気をよくしていた頃のこと、たまたま伺った偏奇館で先生は僕に、