轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

なおこ

菜穂子

堀 辰雄

楡の家 第一部「物語の女」山本書店、1934(昭和9)年11月<br> 楡の家 第二部「文学界」1941(昭和16)年9月号<br> 菜穂子「中央公論」1941(昭和16)年3月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 88,758 字 · 173 页

青空文庫

十六

誰かが締めるのを忘れた硝子窓が、一晩中、ばたばた鳴っているような事もあった。……

或日、菜穂子は一人の看護婦から、その春独断で療養所を出ていったあの若い農林技師がとうとう自分の病気を不治のものにさせて再び療養所に帰って来たという事を聞いた。彼女はその青年が療養所を立って行くときの、元気のいい、しかし青ざめ切った顔を思い浮べた。そしてそのときの何か決意したところのあるようなその青年の生き生きした眼ざしが彼を見送っていた他の患者達の姿のどれにも立ち勝って、強く彼女の心を動かした事まで思い出すと、彼女は何か他人事でないような気がした。

冬はすぐ其処まで来ているのだけれど、まだそれを気づかせないような温かな小春日和が何日か続いていた。

十六

おようは、二月の余も病院で初枝を徹底的に診て貰っていたが、その効はなく、結局医者にも見放された恰好で、再び郷里に帰って行った。O村からは、牡丹屋の若い主婦さんがわざわざ迎えに来た。

二週間ばかり建築事務所を休んでいた明は、それを知ると、喉に湿布をしながら、上野駅まで見送りに行った。初枝は、およう達に附添われて、車夫に背負われた儘、プラットフォームにはいって来た。