轻松读懂日语经典作品
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なおこ
菜穂子
堀 辰雄
楡の家 第一部「物語の女」山本書店、1934(昭和9)年11月<br> 楡の家 第二部「文学界」1941(昭和16)年9月号<br> 菜穂子「中央公論」1941(昭和16)年3月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 88,758 字 · 173 页
「なにしろ、もう足掛け八年にもなりますんでね。此の前東京へ連れて参りましたときなんぞでも、本当にこんな身体でよくこれまで保って来たと皆さんに不思議がられましたけれど、失っ張、此の土地の気候が好いのですわ。――明さんもこんどこそはこちらですっかり身体をおこしらえになって行くと好いと、皆で毎日申して居りますのよ。」
「ええ、若し僕にも生きられたら……」明はそう口の中で自分にだけ云って、おようにはただ同意するような人なつこい笑い方をして見せた。
あれほど旅の間じゅう明の切望していた雪が、十二月半過ぎの或夕方から突然降り出し、翌朝までに森から、畑から、農家から、すっかり蔽い尽してしまった後も、まだ猛烈に降り続いていた。明はもう今となっては、どうでも好い事のように、只ときどき寝床の上に起き上がった折など、硝子窓ごしに家の裏畑や向うの雑木林が何処もかしこも真白になったのを何んだか浮かない顔をして眺めていた。
暮がた近くになって一たん雪が歇むと、空はまだ雪曇りに曇った儘、徐かに風が吹き出した。木々の梢に積っていた雪がさあっとあたり一面に飛沫を散らしながら落ち出していた。