轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
おちばのとなり
落葉の隣り
山本 周五郎
「小説新潮」1959(昭和34)年10月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 28,877 字 · 57 页
繁次が十二の年に父が死んだ。あとには躯の弱い母と八つになる妹のおゆりが残され、くらしに困るので彼は長屋へ帰った。寺の小僧になって五年、繁次は読み書きや礼儀作法は覚えたが、坊主になる気にはどうしてもなれず、機会があったら逃げだしてやろうとさえ考えていたので、家へ帰るときまったときには、父の死んだことを悲しむよりも、うれしさのあまりとびあがりたいように思った。
こうして繁次が長屋へ帰った年、参吉は反対に、田原町二丁目の仏具師の店へ奉公にはいった。ちょうど繁次と入れ違いのようなかたちだったが、そのあいだ半年ばかりいっしょに遊んだ。五年ぶりの再会であったが、特に親しかったわけではないから、初めは同じ長屋の顔見知りというくらいのつきあいで、そこにもしおひさがいなかったら、二人は友達にさえならなかったかもしれなかった。
おひさは妹の友達としてすぐ彼に馴染んだ。妹のおゆりより一つとし下の七つで、躯つきも顔だちも貧相な、玉蜀黍の毛のような赤毛のしょぼしょぼと生えた頭の、まったく見ばえのしない子だったが、「繁ちゃんのあんちゃん」と云って、一日じゅう彼に付きまとった。