轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

やくぜんやくご

薬前薬後

岡本 綺堂

「東京」1925(大正14)9月号、「時事新報」1926(大正15)年8月19~22日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 6,091 字 · 12 页

青空文庫

われわれはこうして救われるの外はないのであろうか。

わたしの現在の住宅は、麹町通りの電車道に平行した北側の裏通りに面しているので、朝は五時頃から割引の電車が響く。夜は十二時半頃まで各方面から上って来る終電車の音がきこえる。それも勿論そうぞうしいには相違ないが、私の枕を最も強くゆすぶるものは貨物自動車と馬力である。これらの車は電車通りの比較的に狭いのを避けて、いずれもわたしの家の前の裏通りを通り抜けることにしているので、昼間はともあれ、夜はその車輪の音が枕の上に一層強く響いて来るのである。

病中不眠勝のわたしはこの頃その響きをいよいよ強く感じるようになった。夜も宵のあいだはまだ好い。終電車もみな通り過ぎてしまって、世間が初めてひっそりと鎮まって、いわゆる草木も眠るという午前二時三時の頃に、がたがたといい、がらがらという響きを立てて、殆ど絶間もなしに通り過ぎるトラックと馬力の音、殊に馬力は速力が遅く、かつは幾台も繋がって通るので、枕にひびいている時間が長い。

病中わたしに取って更に不幸というべきは、この夜半の馬力が暑いあいだ最も多く通行することである。