轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
らん
蘭
山本 周五郎
「家の光」1948(昭和23)年8月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 10,247 字 · 21 页
そのとき向うにいた三人の若侍たちが、こっちへ近づいて来た。
× × × ×
小笠原家の江戸屋敷は下谷池の端にある。平三郎は着いて三日休息し、四日めの朝、召しをうけて城へ登った。そして主君能登守正陟につれられて、雁の間にはいると間もなく、屋敷から使役が追って来て、勝山から急使のあったことを告げた。急使は登城ちゅうでも注申する定めだった。正陟は廊下で使者に会った。
「十月十七日早朝」と、使役は、口ばやに云った。「……城外長山の丘におきまして、須川生之助、脇屋藤六の両名、わたくしの遺恨をもって決闘におよび、生之助こと藤六を討ちはたしましたるうえ、その場を去らず自害つかまつったとのお届にございます」
「生之助が、生之助が……」声を放って、うめくように正陟が叫んだ。
しかし、平三郎の驚きはたとえようもなかった。必ず穏便におさめてみせる、そう云った生之助の声はまだ耳にある。静かな確信ありげな表情も目に残っている。それにもかかわらず……それにもかかわらず、かれは藤六を切って自害した。では、やはり、あのことばはおれを安心させるためだったのか。あの時すでに、こうする覚悟をきめていたのか。