轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

はえおとこ

蠅男

海野 十三

「講談雑誌」1937(昭和12)年1月号~10月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 118,129 字 · 237 页

青空文庫

しかしあのような六、七寸の穴から、肩を出すことは難かしいであろうと思われた。

しかるに首はスーッと床の上めがけて落ちていく。首のうしろにつづいているのは、男枕を二つ接ぎあわせたようなブカブカした肉魂。――それでお終いだった。

首と細い胴の一部だけの人間?

それでも、その人間は生きているのであろうか?

ドタリと床の上に痩せ胴のついた首が落ちると、それを合図のように、始めに床の上に横たわっていた長い手や足やが、まるで磁石に吸いつく釘のようにキキッと集まって来た。

やがてムックリと立ち上ったところを見れば、これぞ余人ではなく、有馬山中を疾風のように飛んでいったあの蠅男の姿に相違ない。組立て式の蠅男? なんという奇怪な生き物もあったものだろう。一体蠅男は人間か、それとも獣か?

蠅男は大きな眼玉をギロリと動かして、安楽椅子の上に睡る糸子の艶めかしい姿に注目した。

蠅男はそこでニヤリと気味のわるい薄笑いをして、どこに隠し持っていたのか、一条の鋼鉄製の紐をとりだした。それを黒光りのする両手に持って身構えると、サッと糸子の方にすりよった。……呀ッ、糸子が危い!

糸子は死んだようになっていた。