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はえおとこ
蠅男
海野 十三
「講談雑誌」1937(昭和12)年1月号~10月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 118,129 字 · 237 页
それは黒光りのする腕のようでありながら、まるでぎこちない銃身のように見えた。
「ははあ、くくり付けの機関銃とお出でなすったね。そんなインチキ銃に撃たれてたまるものか」
「よオし、これを喰って往生しろッ」
と蠅男の大喝と共に長い黒マントの肩先がブルブルと痙攣するより早く、ダダダッと耳をつん裂くような激しい銃声!
「うぬッ――」
帆村はさっと寝台の蔭に身を沈めた。――と見るよりも早く、蠅男の隙を狙って寝台の下からパッと投げつけた渋色の投網!
網は空間に花火のように開いて、蠅男の頭上からバッサリ落ち掛ったが、蠅男もさるもの、不意を打たれながらもツツーッと身を引けば、網はかちりと蠅男の左腕の中に仕込まれた機関銃に絡み付いた。
「生意気なッ――」
と蠅男が気色ばむ所を帆村はすかさず、
「えいッ」
と大声もろともすかさず投げ付けた丈夫な撚り麻の投縄――それが見事蠅男の左腕の中程をキリリと締め上げた。
「さあ、どうだッ」
と帆村は歓声をあげ、気を外さず麻縄の端を寝台の足に通して、それを支えに満身の力を籠めてえいやッと引けば、流石の蠅男も思わずツツーッと前にのめろうとするのを、ウムと堪えて引かれまいと、反り身になって抵抗するうち、どうしたはずみかドーンと云う大きな響きを打って蠅男の左腕は肩の附根からすっぽり抜け落ち床の上に転がった