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はえおとこ
蠅男
海野 十三
「講談雑誌」1937(昭和12)年1月号~10月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 118,129 字 · 237 页
蠅男に対する監視は厳重なんですから、蠅男がここへ出てくるようでは、その辺に潜伏しているのに違いありません」
「そんなら、この小包を持って本署に来た配達夫が蠅男やったんか。そら、えらいこっちゃ。追跡させんならん」
「署長さん、もう遅いですよ。いまごろ蠅男は、どっかその辺の屋上に逃げついて、そこからこっちの窓を見てニヤッと笑っているでしょう」
「そうか、残念やなア」
蠅男が近所に潜むという帆村の推理に、村松検事も賛成の意を表した。
それではというので、すぐさま捜査隊が編成せられて、一行は直ちに鴨下ドクトル邸に向った。
厳重な捜査の結果、帆村の云ったとおり、はたして秘密倉庫が地下に発見せられた。それは、勝手許の食器棚のうしろに作られていたもので、ボタン一つで、自由にあけたてできるようになっていた。
一行は、いまさらのように愕いたが、中に入ってみて二度びっくりした。倉庫の中には、まだ五つ六つの爆弾やら、蠅男が使ったらしい工具や材料が一杯入っていた。
「さあ、そういうことになると、蠅男はどないして、ここへ出入したんやろ。そいつを調べなあかん」
正木署長は俄かに奮いたって、取調べを始めた。