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けつえきがたさつじんじけん

血液型殺人事件

甲賀 三郎

「ぷろふいる」ぷろふいる社、1934(昭和9)年6、7月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 35,256 字 · 71 页

青空文庫

すると、前に戻って、第三者が手に入れてそれを博士に渡したという考えは成立しないから、勢い博士自らが直接入手せられたという結論に到達する。

私は当夜の博士の行動を思い浮べて見た。笠神博士は毛沼博士より一足先に帰られた。そのまま真すぐに家に帰られたかどうか、それが問題だ。

仮りに笠神博士に何か目的があるとして、一足先に会場を出て、毛沼博士の家に先廻りしているとする。毛沼博士はグデングデンに酔って、玄関にへたばり、婆やと女中と私の三人で、大騒ぎをして、寝室に担ぎ込んだので、その間玄関は明け放しになっていたし、そっと忍び込んで、どこかの部屋に隠れていることは、大した困難もなく出来ることである。

私が帰って婆やと女中が、毛沼博士の脱いだものを始末しながら、ベチャベチャ喋っている隙に、笠神博士はそっと寝室に滑り込むことが出来る。そして、雑誌から写真版を引ちぎって、部屋を出て抜き足さし足で、外に出る。婆やと女中は少しも気がつかない。毛沼博士はその後でふと眼を覚まし、扉の鍵をかけて、又元通り寝る。以上の事には十分可能性がある。

然し、私はもう一度ここで同じ事をいわねばならぬ。