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けつえきがたさつじんじけん

血液型殺人事件

甲賀 三郎

「ぷろふいる」ぷろふいる社、1934(昭和9)年6、7月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 35,256 字 · 71 页

青空文庫

「会場では変った事はありませんでしたか」

「ええ、別に」

私はこの時に、会場で毛沼博士と笠神博士とが、いつもとは違って、何となく話合うのを避けていたようだったのを思い出したが、取り立てていうほどの事でもなし、それには言及しなかった。

「毛沼博士は元気だったですか」

「ええ」

「酒は大分呑まれたですか」

「ええ、可成呑まれました」

「どれ位? 正体のなくなるほど?」

「いいえ、それほどではなかったと思います。自宅へ帰っても、ちゃんと御自身で寝衣に着替えて、『有難う、もう君帰って呉れ給え』といって、お寝みになりましたから」

「君はいつも先生を送って行くのですか」

「いいえ、そういう訳ではありませんけれども。先生の家は私の近所だものですから、みんな送って行けというので」

「毛沼博士と君とが一番先に出たんですね」

「いいえ、笠神博士が一足先でした」

「やはり誰か送って行ったのですか」

「いいえ、笠神博士はお酒をあまりお呑みになりませんので、殆ど酔っていらっしゃいませんでしたから――」

「毛沼博士が家に這入ってから、寝られるまでの間を、出来るだけ委しく話して呉れませんか」

「そうですね。