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けつえきがたさつじんじけん
血液型殺人事件
甲賀 三郎
「ぷろふいる」ぷろふいる社、1934(昭和9)年6、7月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 35,256 字 · 71 页
毛沼博士が閉された密室で斃れていた事は、蔽うべからざる事実だった。警察当局が、ガス漏出による過失死と断じたのは、当然すぎる事だった。
だが、ガス管はいかにして外れたか。又、毛沼博士はどうしてそれに気づかなかったか。それから、ああ、あの忌わしい写真版はどうして笠神博士の手にあったか。
もし、このままの状態で進めば、私は全く気違いになるか、自殺するより他はなかったかも知れぬ。だが、私は幸運にもふとした発見によって、そうなることを免かれたのだった。
それは写真版を発見してから五日ばかり、つまり事件が起ってから二十日ばかり経った時だった。私は下宿に帰って、足がひどく汚れていたので、いつもと違って、台所の方から上った。その時に眼にふれたのは、普通にメートルと称しているガス計量器だった。赤く塗った箱形の乾式計量器であるが、之には大きなコックがついている。このコックを締めればどの部屋のガスも止って終うのだ。ガスストーブなんか使用していないこの下宿では、おかみさんが女中に喧しくいって、毎夜寝る時に必ずこのコックを締めさせている。そうして置けば、過失によるガス漏洩なんかない訳で、安心していられるのだ。