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ふくめんのぶとうしゃ
覆面の舞踏者
江戸川 乱歩
「婦人の国」新潮社、1926(大正15)年1~2月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 14,827 字 · 30 页
が、それには訳があるのです。そして、その、私が二十日会を脱退するに至ったいきさつをお話するのが、実はこの物語の目的なのであります。
で、お話は、私が入会以来第五回目の集りのことから始まるのです。それまでの四回の集りについても、若し暇があればお話したく思うのですが、そして、お話すればきっと読者の好奇心を満足させることができると信ずるのですが、残念ながら、紙数に制限もあることですから、ここには省くことに致します。
ある日のこと、会長格の呉服屋さんが――井関さんといいました――私の家を訪ねて来ました。そうして会員達の家を訪問して、個人個人の会員と親しみ、その性質を会得して、種々の催しを計画するのが、井関さんのやり口でした。それでこそ初めて会員達の満足するような催しができるというものです。井関さんは、そんな普通でない嗜好を持っていたにも拘らず、なかなか快活な人物で、私の家内なども、かなり好意を持って、井関さんの噂をする程になっていました。それに、井関さんの細君というのが又、非常な交際家で、私の家内のみならず、会員達の細君連と大変親しくしていまして、お互に訪問をし合うような間柄になっていたのです。