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かいせつ しゅみをつうじてのせんせい

解説 趣味を通じての先生

額田 六福

「舞台 岡本綺堂追悼号」1939(昭和14)年5月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 5,362 字 · 11 页

青空文庫

と、もう「蟇だ。蟇だ。」で家内中大騒ぎだった。その蟇は毎年の様に出て来て、毎夕の様に沓ぬぎの下に来たそうであるが、しらず、今年の夏は? 無心の彼にも、歎きがあるであろう。

「何故蛙が好きだった?」

本統に好きなものには、その理由があるわけではない。しかし、痩蛙に負けるなと云った一茶の様な、ねじけた心持でなかった事丈けは判然云える。澤田正二郎が、蛙をマークとした意味とも全く違う。

*

先生と玩具類と結びつけた話は有名である。それも、手のこんだ高価なものより、一刀彫とか、土焼とか、張子とか、そうした郷土玩具的なものが好きだった。震災前には客間が和室の八畳だったので、その違い棚に一杯にならんでいた。その後の新邸はいずれも洋風の応接間なので、沢山並べられない。物置台の上に数個ずつ並んでいるにすぎなかったが、それが気に入った物ほど長く置かれてあった。私は密かにその日数で、その玩具がどの程度にお気に入ったかを占うバロメーターにしていた。去年の春は寅年なので、阿佐ヶ谷通りの店で金二十銭也の張子の虎をもって行ったが、これは相当長く飾られてあって、面目をほどこした。