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にんしきろんとはなにか

認識論とは何か

戸坂 潤

「認識論」戸坂潤、山岸辰蔵、三笠書房、1937(昭和12)年10月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 58,432 字 · 116 页

青空文庫

夫は文化の神経組織であり骨格であり、文化の消化器官と生殖器官だ。もし文化に独自の生命力というものがあり、それが文化の価値と権威と威厳と自己目的性とを結果するならば、その生命力の機能が広範義に於ける課題だ。そして文化のこの生命力に当るものは他ならぬ思想である。

科学や文芸は云うまでもなく、一般の芸術・道徳・政治・宗教(之はいつまでも文化の独立なジャンルとして留まり得るものでないと思うのだが)・も、認識・思想・の形象である。一切の文化を貫く手形が認識と思想とである。尤もここでも、思想・認識・というものが文化となって現われると云っては、云い方が拙い。文化の骨格自身が認識であり思想であるというのである。

尤も文化は多分に装飾的な意義を持っている。生活必需品と区別された文化費などという場合にこの意味がよく出ている。生活の精神的粉飾も亦、確かに文化の一内容だ。これに基いてデカダンスさえが文化の一性質だ。個人の教養や国家の文化的体面さえが、事実文化の相当真剣な問題なのである。教育の蓄積としての社会的体面、そういう意味で所有されているインテリ的な知能技術や文献的学殖も、勿論文化の主な内容をなす。