轻松读懂日语经典作品
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なぞのおんな
謎の女
平林 初之輔
「新青年 第一三巻第一号」1932(昭和7)年1月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 9,077 字 · 18 页
七
「そうね、中々これで、俄夫婦の生活にも準備がいりますね。どうすることにしましょうか?」
「とにかく貴女は、僕のことを、ねえとか、貴方とか仰言っていただくんですね、そして第三者に向かって言う必要のあるときには、島と呼びすてにして頂くんですね」
「貴方はあたしのことを?」
「そうですね、みいちゃんじゃあんまりやさしすぎるし、道子とも言えないし、みっちゃんにしますか?」
「大好き、あたしみっちゃんという名前!」
「それでかまいませんか?」
「ええ」
「じゃすっかり打ち合わせはすんだわけですね。僕何だか妙な気がするんですよ。急に貴女が他人でなくなったような、一種の親しみを感じますね」
道子は笑いながら冗談に言った。
「それが恋というものじゃないんですの?」
「いいえ、恋とはちがうんです」
龍之介は相手の冗談をむきになって打ち消したのを後悔した。彼の顔は少し赤くなっていた。
七
「市外西大久保七六、島龍之介、新聞記者、三十五歳、妻道子二十八歳」
龍之介はすらすらと一息にレジスター〔(register =記名する)〕して、ボーイに案内されて昇降機に乗った。
「八階」
二人が案内されて通った室は、正面に、ライティング・デスクがあって、中央にテーブルをはさんで粗末な椅子が二脚、室の両側の壁よりに互いちがいになって二つのベッドがおいてあった。