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まめせんすいていのゆくえ

豆潜水艇の行方

海野 十三

「家の光」家の光協会、1941(昭和16)年8月~1942(昭和17)年1月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 20,245 字 · 41 页

青空文庫

うきあがらないようにしたのです。しかしそのとき、右舷のタンクはひらいたが、左舷のメインタンクがひらかなかったので、左舷タンクには水が入ってきませんでした。そこで、艇はひどくかたむいていたのです。

エンジンは、しきりにまわっています。

「防毒面はもうしばらくがまんしてかぶっているのだよ。今、艇内の毒ガスをおいだすと、そばにいる例の怪しい船にしれるからね」

青木さんが、ふと気がついたようすで、いいました。

「いつまでも、がまんできますよ」

「しかし、あのときは、あぶなかったねえ。悪い奴が、毒ガス弾をなげこんだとき、あわてないで、すぐ用意の防毒面をかぶったからよかったが、うっかりしていれば、今ごろは冷たくなって死んでいるよ」

「それよりも、ぼくは、青木さんが、艇内に防毒面をそなえておいた、その用意のよいのに、かんしんするなあ」

「そんなことは、べつにかんしんすることはないさ。コレラのはやる土地へいくには、かならず、水を水筒に入れてもっていくのと同じことだ。これからは、防毒面なしでは、外があるけないよ」

忘れもの

豆潜水艇のかたむきは、すっかりなおりました。艇は今、海のそこから五メートルほど上に、うきあがっています。