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まめせんすいていのゆくえ
豆潜水艇の行方
海野 十三
「家の光」家の光協会、1941(昭和16)年8月~1942(昭和17)年1月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 20,245 字 · 41 页
青木学士が、きげんのわるいこえでいいました。
「だって青木さん。夜中に潜望鏡を出しても、仕方がないでしょう。なんにも見えないじゃありませんか」
「なにをねぼけているんだ、君は……時計を見たまえ。今は夜じゃないよ。朝の五時ごろなんだぜ」
「えっ、もうそんな時刻ですか。こいつはしまった」
春夫少年は、腕時計を見ました。なるほどもう五時です。彼は、きまりわる気に、あたまをかきました。
「よくねむったもんだなあ。まだ夜中だと思っていましたよ」
「ねぼけちゃ、こまるねえ。しかし、こいつはよわった。外が見えないでは、こまるなあ」
春夫は、心細くなってきました。が、そのとき、気がついたことがありました。
「青木さん。そんなら、海面へうかんで、昇降口をあけたら、どうですか」
「そんなことをしては、危険だよ。先に潜望鏡を出して、あたりに敵のすがたのないことをたしかめた上で、うきあがるようにしなければなあ」
「なるほど、それはそうですね」
春夫は、またも失敗したかと、顔をあかくしながら、ふと深度計の針を見ました。するとおどろいたことに、深度計は零をさしていました。
「青木さん。この潜水艇は、もう海面へうきあがっているのじゃないのですか」