轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
あかひげしんりょうたん
赤ひげ診療譚
山本 周五郎
07 おくめ殺し
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 23,548 字 · 47 页
暫く歩いてから、登が訊いた、「その理由を知っている者はいないのですか」
「角三が云ったとおりだ」去定は苛だたしげに喉を鳴らした、「総代五人のうち二人は移転し、二人死んだ、角三の親がその一人で、残っているのは多助だけだ」
「ぼけてしまったという――」
「おれはさっき訪ねてみた、卒中のためにぼけたのだろう、いろいろやってみたし、老人自身もけんめいに思いだそうとした、しかし、おくめ殺し、ということしか記憶に残っていないんだ」
登は去定の顔を見た。
「おくめ殺しだ、――おれの顔を見たってなにもわかりゃしないぞ」去定は片手を意味もなく振った、「それがなにをさすのか誰にもわからない、長屋の者も手を尽して訊いたが、老人はその一と言しか覚えていないし、それがどんな意味を持つかもわからないのだ」
「ぜんぜん関係のないことかもしれないわけですね」と云って慌てて、登は話をそらした、「それでほぼわかりました」
「なにがほぼわかったんだ」
「高田屋を殺そうとまで思い詰めた角三の気持です」そう答えながら、今日のおれはばからしいほど愚鈍だぞ、と登は思った、「――十幾年かの辛苦が水の泡となり、まぢかに迫った結婚もだめになった、しかも相手は金儲けが目的なんですからね、これでは嚇となるのもむりはないと思います」