轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
あかひげしんりょうたん
赤ひげ診療譚
山本 周五郎
08 氷の下の芽
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 20,146 字 · 40 页
佐太郎は三度ばかり伴れ戻そうとしたが、おえいは柱にかじりついて「帰るのはいやだ」と町内じゅうに聞えるほど、大声に泣き叫び、父親の手に噛みついて暴れた。
登は話を聞きながら、それとなくおえいのようすを観察していた。話の筋もとおっているし、態度もごく普通であるが、言葉つきは舌ったるく、絶えまなしに、鼻の下や口のまわりを手の甲で撫でる。まるで洟と涎がたれるのを、気にして拭いているという動作など、いかにも白痴そのもののようにみえた。まねをしているうちに習慣となり、すっかり身に付いてしまったのであろう、登はそう思って、人間の一心の根強さというものにおどろきを感じた。
「あたりまえの親なら、あたしだってそんなまねはしやあしません」とおえいは続けていった、「うちの二た親は違うんです、片っ端から子供をくいものにして、自分たちは仕事らしい仕事もせず、酒を飲んだり、うまい物を喰べたり、ぶらぶら遊んでばかりいるんですから」
世間を見ても、貧乏世帯は似たりよったりである、子供を愛している親たちでさえ、貧乏ぐらしではどうしようもない。多かれ少なかれ子供に苦労をさせる、とおえいは云った。