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あかつちへくるこどもたち
赤土へくる子供たち
小川 未明
「せうがく三年生」1939(昭和14)年6~12月
N3 · 进阶 · 新字新假名 · 16,075 字 · 33 页
やがて、「突撃兵」という、おじさんのお話が、はじまりました。
「ある日、召集令が、忠一のもとへまいりました。彼は、手に持つ仕事道具をなげすててすぐに立ちあがった。
『妹よ、あとをよろしくたのんだ。』
『お父さん、きょうは、ご気分は、いかがですか?』
兄のいなくなった後は、かよわい女の身ながら、妹は、はたらいて、よく父親の看護をしていました。
『長い間、よくめんどうをみてくれたぞ。しかし、もう私もいくときがきたんだ。ただ生きているうちに、せがれのてがらをきかずにいくのが、ざんねんだ。』
『お父さん、そんな心ぼそいことをおっしゃっては、いけません。』
『いや、それよりかおまえは、お父さんがなくなったら一人になってしまう。おまえも日本の女だ。なんなりと、自分の力でできることをして日本のためにつくすんだぞ。』
『お父さん、よくわかりました。いま日本の人は、男でも女でも、年よりでも子供でも、一人のこらず、力をあわせて、立ちあがらなければならぬときがきたんです。私は、女ながら、つねにその覚悟を持っています。』
『ああ、それで安心した。』
これが、父親のわかれのことばでした。