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ぐんぷくをきたひゃくしょうげんぞうのじょたい
軍服を着た百姓源造の除隊
今野 大力
「プロレタリア 創刊号」1930(昭和5)年十二月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 1,018 字 · 3 页
「おお源造よ 帰って来たか」
つまごをはき、雪路を踏んで、馬橇の上で別れて行ったあの日、
「俺あクジ逃れだ、俺には只一人のお母がいる、お母はおいぼれ……」
「でも源造よ、お上はお前や俺等のために、どうにもなんめいぞ、誰ぞと代って下されと、あれ程ねがったんだに
仕方のねい世の中だ
諦められない世の中よ
そんだば、元気で行ってこう
源造よ、元気でだぞお!」
戦争におびやかされ
戦争は明日にもあるらしい
『戦争が初まったら……』
将校は勲章をかぞえ、拍車を磨き、サーベルをさすっていた
そして精神講話に武士道の物語りをのべた。
支那が戦場の夢に出て、
ロシアが理屈で出しゃばり出す、
地図のアジアは将校の馬蹄にじゅうりんされ
夢将校の栄誉は未来永劫。
二年目に帰ってきた源造、
帰れば部落は積雪の下
霜枯れた草木の眠れる山野
雪路を踏み、馬橇の上、
「おお源造、お前は上等兵かよ」
「ええ俺あ二等卒だよ」
血書血判で兵隊になりたい奴もある世の中、
(不景気だからな
兵隊になりゃ喰うだけ喰えるからよ)
源造よ
お前は知ってるか
今年は豊作だなんて
どこのどいつの宣伝だか
あの稲束を見て見ろや
あんでも豊作だと どの野郎だ