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じてん

辞典

戸坂 潤

「経済学大辞典 第四巻」岩波書店、1931(昭和6)年10月、「経済学大辞典 第五巻」岩波書店、1932(昭和7)年1月、「経済学大辞典 追補」岩波書店、1936(昭和11)年10月、「教育学辞典 第一巻」岩波書店、1936(昭和11)年5月、「教育学辞典 第二巻」岩波書店、1937(昭和12)年2月、「現代哲学辞典」日本評論社、1936(昭和11)年9月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 96,131 字 · 186 页

青空文庫

先天的な而も総合的な判断はまず第一に数学に於ける諸判断である、とカントは主張する。数学の判断は概念だけでは出来上らない。それが構成されるためには、まず直覚=直観(それは全く感性に属するもので悟性やその概念には属さない)がなくてはならぬ。三角形という概念からは、その内角の和が二直角だという判断は分析的には出て来ない。三角形の直観が吾々に三角形という形の表象を与えることによって、この判断は総合され得るのである。処がこの直観は感性に属するにも拘らず、カントによると先天的(アプリオリ)な直観なのである。即ち経験を俟たないところの直観である。であればこそこの総合的判断は経験的な通用性に止まらず、経験から独立した通用性を有つところの先天的な判断であることが出来たのである。

こうした数学が適用される限りに於ける、一切の経験的認識の根柢も亦、総合的でありながら、単なるその場その場の経験によってはもはや制約されない処の、先験性を有つことが出来る。こうして初めて、一般に認識(経験的科学)の客観性が保証される、というのである。

カントが問題にした論理上の課題は、だから、もはや従来の形式論理学のように単に学問の手続や思惟の法則に局限されたものではなくて、科学的認識の客観性を如何にして保証し得るかということであった。