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みちづれ

道連

豊島 与志雄

「中央公論」1924(大正13)年9月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 18,366 字 · 37 页

青空文庫

二人はよく運動場の隅で話し合ったり、互に往復したりしたものだ。二人共どちらかというと温和な方で、文学が好きで、感傷的だったのだ。

え、実行はだって、馬鹿なことを云っちゃいけない。アクチヴにもパッシヴにも、一度だってあるものか。第一そういう頃の同性愛というものは、実に他愛ない馬鹿げたもので、青春期の漠然とした憧憬の気持の上に立った空想で出来上っているので、実行なんかへまで進むだけの力もないし、それ自身実行を目指しているものでもない。云わば相手を空想の踏台にするだけのことだ。空想の対象は、ずっと遙かな曖昧模糊とした所にあるのだ。

所で僕には、互に好感を持ち合ってる男が同級のうちに一人いた。そして春の休暇に、一緒に四五日の旅行をする約束をした。僕からその男の郷里の家へ誘いに行って、そして一緒に登山するつもりだった。

するとその日、天気は幸によかったが、田舎の不完全な石油発動汽車が遅着したために、それと連絡してる本当の汽車に乗り後れた。そこの汽車がまた数少くて、二時間半も停留場で待たせられた。その上、向うの駅で下りると雷雨なんだ。もう日は暮れかかってくる。