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しゅうぶん
醜聞
山本 周五郎
「小説新潮」新潮社、1964(昭和39)年6月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 22,900 字 · 46 页
「たちの悪い男だ」と彼は呟いた、「楯岡よりも悪質だ」
楯岡平助も勘定吟味役のとき、御用金を商人たちに貸して、かなり多額な利子を稼いでいた。二人の部下と共謀したもので、二年めに発覚したが、御用金は殆んど返済されたため、三人とも役目を解かれただけで済んだ。苅田壮平は勘定吟味役になって三年だが、去年の春ころから同じようなことをやり始め、この七月にぼろをだした。楯岡の問題がおこったとき、功兵衛は諸奉行職監査だったので、直接に関係はなかったが、こんどは金穀出納元締役だから、御用金に関してもむろん責任があった。初め、苅田がひそかに金貸しをしている、という噂を耳にしたので、しらべてみると御用金が五十余両も動かされていることがわかり、功刀功兵衛はすぐに苅田を呼びつけた。壮平は云いぬけようとしたが、功兵衛の追求に耐えかねて告白した。いろいろと言葉は飾ったけれども、要約すると、中以下の侍に小額ずつの金を貸し、それによって利を得ていたのである。借りた側の者に二三当ってみると、それは「某御用商から出た金」ということであり、利子や返済条件もかなり不当なものであった。
楯岡の場合には相手が商人であった。