轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

のざらし

野ざらし

豊島 与志雄

「中央公論」1923(大正12)年1月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 19,100 字 · 39 页

青空文庫

もう行こうよ。」

C――「体のいいことを云って、実はもう一つの危きに近寄りたいんだろう。」

それから話は外の方に外れて、彼等の間だけに通用する符牒の多い事柄にはいり込んだので、その声はまた高くなったが、昌作にはよく分らなかった。けれど昌作にとってはそんなことはどうでも構わなかった。彼の頭は聞き取った事柄の方にばかり向いていた。沢子が絵を習ってるということを、彼は嘗て夢にも知らなかった。それかと云って、宮原の話やなんかを考え合せると、それは確かに沢子のことに違いなかった。沢子が絵を習ってるのを今迄自分に隠していたということが、重く彼の胸にのしかかってきた。固より、沢子の以前の生活やその智力などを考えてみれば、彼女がこの喫茶店の女中になったのには何か他に理由があるに違いないとは、昌作にも推察されないではなかった。然し彼がそのことに話を向けようとすると、彼女はいつも言葉を外らしてしまった。しまいには彼も諦めて、彼女から云い出すまで待つことにしていた。所が今偶然、彼女が絵を習ってるのを知ったのである。それが、彼女自身の口からではなくて、偶然によってであるのが、昌作には不満だった。